E: はじめにdriftwood birdを作り始めたきかっけは何ですか?また、なぜ「鳥」を選ばれたのですか?
O: きっかけは40年前の冬、葉山のビーチで不思議な形をしている流木と出会い、自然が作ったその美しい流線型、焼けこけた木目が羽に見え、その木肌、色、にすっかり魅せられ以来毎週末流木探しに夢中になりました。あるとき、収集した流木の中から鳥にそっくりな形をしている流木を見つけクチバシを付けてみたら完璧な鳥に変身しました。それから流木の鳥作りに夢中になり鳥を作ることを目的に流木の収集、制作が始まり現在に至ります。何が面白いかというと、見捨てられた流木にちょっと手を加えると見事な鳥に変身する面白さです。流木は人工的に作れない自然の圧倒的なパワーがあり一つとして同じ形がないのが魅力です。そこから生まれるオリジナルバードにハマってます。40年も経つのに飽きません。
流木が鳥になったのは、東京下町育ちの私は子供の時から父が趣味でシャモ、東天紅、白色レグフォンなど鶏、文鳥、セキセイインコを飼っていました。その影響があるかも知れませんね。
E: 一つの鳥を作り上げる工程を教えてください。また、流木を探されているときは、どのような点を考えながら選んでいらっしゃいますか?
O: 流木探しは秋から春に探しに行きます。春の強風、秋台風の後、人のいない冬。半日かけて歩き探します。毎回お気に入りの流木があることはありません。全て偶然の出会いです。鳥も偶然から生まれます。鳥のボデイになりそうな流木を中心に一部分が鳥の形になる流木から、クチバシに似た流木を探します。他に面白い形の流木ならなんでも持ち帰ります。数年経ってから改めて見ると結構面白い鳥ができることが多々あります。
工程は色々あり、ひとつの流木の形から全体の鳥のイメージして作くるやり方。逆に作りたい鳥のイメージから合う流木を選んで作るやり方。こんな鳥を作っているくださいとオーダーがあります。その時はそれに合う流木探しから始まります。基本、個々の流木に合わせてその流木の個性に合う鳥を作っています。これが私のやり方です。流木を大切にそその子のオリジナリティは守ること。全ては偶然の賜物です。
E: コロナウイルスの影響で、針原さんの生活はどのように変わっていきましたか?家にいることが多くなったと思いますが、その影響で制作をする時間が増えたり、しやすくなったりしましたか?
O: コロナのこの時、作品を作る時間が増えました。ありがたく思っています。充実した時間を過ごしています。愛猫たちも製作している横で邪魔せずにのんびりしてます。混雑を避けて自宅で過ごすには良かったと思っています。
E: 世界がこのような状況の中、人々は自然や平和により気持ちが向いていると思います。driftwood birdの制作を通じて、どのようなことを表現していきたいですか?
O: コロナを体験し全てが変化しました。働き方、遊び方、生き方など歴史的な変化を無理やりに。周りでもリモートワークになり自宅で過ごす時間が多くなり慣れない生活をしています。海や山にも行けず自然に接することができず癒されずストレスが溜まっています。先日、東京で販売しているオーナーから客が流木の鳥を見て癒されると感動して買ってくれたと聞き大変嬉しく思いました。流木から海や川を連想できるのでしょうね。こんな時期だからこそ役立っているのかも知れません。製作を始めて40年近く経ちましたが自信を持って言えるのは「流木の鳥」は理屈なく、どんな人にも癒しを与えてくれて喜んでくれます。憎まれない奴です。流木に素材として市民権を与えたのは自分だと自負しています。現在、日本では流木を素材として使用しているクリエーターが増えています。嬉しいことです。もっとあらゆる自然の素材に着目してくれると良いですね。
E: コロナウイルスが終息した後、最も楽しみにしていることはありますか?
O: 海に行きたいです。ハワイに友人がいて毎年行っていましたが現在、行けないのが辛いです。